クーリング・オフ制度とは
「クーリング・オフ制度」とは、消費者が一旦申込みや契約の締結をした場合でも、冷静に考え直す時間を与え、一定期間内であれば無条件で申込みの撤回や、契約の解除をすることができる制度です。
クーリング・オフをすると、支払った費用が返金され、事業者の負担で商品の返品や工事の原状回復が行われます。
クーリング・オフができる取引は、特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」という。)で定められた訪問販売や電話勧誘販売などの取引形態で契約した場合のほかに、事業者が契約書などの約款で独自に定めている場合があります。
特定商取引法のクーリング・オフ制度が適用される取引
特定商取引法に基づきクーリング・オフすることが可能な取引形態及び期間は以下の表のとおりです。
取引形態 | 勧誘行為の例 | 期間 |
---|---|---|
訪問販売 | ①突然、自宅へ事業者が訪問し、勧誘する行為
②事業者が店舗や営業所以外の場所で勧誘する行為(キャッチセールス) ③販売目的を隠して勧誘する行為(アポイントメントセールス) など |
8日間 |
電話勧誘販売 | ①固定電話や携帯電話へ電話を掛けて勧誘する行為
②Web会議システムを用いて勧誘する行為 ③電子メールやSNSのDMを用いて勧誘する行為 など |
8日間 |
連鎖販売取引 | 「ほかの人を販売組織に加入させると利益が得られる。」などど言い、商品やサービスを勧誘する行為(マルチ商法・ネットワークビジネス等) | 20日間 |
特定継続的役務提供 | ①契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が1箇月を超えるエステや美容医療の契約を勧誘する行為
②契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が2箇月を超える語学教室やパソコン教室、学習塾、家庭教師、結婚相手紹介サービスの契約を勧誘する行為 |
8日間 |
業務提供誘引販売取引 | 「事業者が提供、あっせんする仕事をすれば収入が得られる。」などと仕事に必要な商品やサービスを勧誘する行為 | 20日間 |
訪問購入 | 事業者の店舗や営業所等以外の場所で消費者から物品を買い取る行為 | 8日間 |
※ クーリング・オフ期間の起算日は契約書を受け取った日を含みます。
※ クーリング・オフができる申込みや契約にもかかわらず、事業者から「この契約はクーリング・オフできない。」など、クーリング・オフを妨げるような虚偽の説明をされた場合は、上記期間を過ぎてもクーリング・オフすることができます。
【参考】特定商取引法の対象となる類型について(特定商取引法ガイドHP)
特定商取引法のクーリング・オフ制度が適用されない取引
以下の取引の場合は、特定商取引法上のクーリング・オフ制度が適用されません。
消費者が自ら赴き商品を購入する「店舗購入」
「店舗購入」は、日常生活の中で最も身近な契約ですが、店舗に自ら赴き、商品を購入した場合はクーリング・オフの対象外です。返品を受け付けてもらえるかは事業者次第であり、あくまで事業者のサービスになります。また、事業者の説明や商品に問題がある場合は、それを基に解約できるか、自身で交渉することになります。
インターネット通販などの「通信販売」
インターネット通販などの「通信販売」には、特定商取引法に基づくクーリング・オフ制度が適用されず、事業者が広告に返品の可否や条件について特約を定めていれば、それに従うことになります。
そういった特約がない場合は商品を受け取った日を含み、8日以内であれば返品することが可能ですが、商品の返品費用は消費者の負担となります。
クーリング・オフ制度が提供される取引形態のうち次の取引
- 総額3,000円未満で、商品等を提供されており、かつ代金の全部を支払った場合(訪問販売、電話勧誘販売のみ)
- 化粧品など、消耗品として政令で定めるものを使用し、又は全部若しくは一部を消費した場合(訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供のみ)
- 自動車(訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入のみ)
クーリング・オフの方法について
クーリング・オフをするには、郵便はがきなどで通知書を作成し、契約した事業者へ通知しなければなりません。
また、クレジットカードで支払ったり、クレジット契約の申込書を作成する方法の契約(個別信用購入あっせん)をした場合は、必ず契約先事業者と共に、クレジット会社にも通知する必要があります。
クーリング・オフは、その意思を発信し、たとえ事業者がこれを受け取らなかったとしても効力が生じます(発信主義)。
このため、郵便はがきでクーリング・オフの通知書を作成した後は、お近くの郵便局へ行き、発信した記録が残る「特定記録郵便」や「簡易書留」を利用し、契約先事業者やクレジット会社へ郵送してください。
また、通知書は必ず両面をコピーし保管しておきましょう。
特定商取引法の改正に伴うクーリング・オフ通知の電子化について(令和4年6月1日施行)
令和4年6月1日に改正特定商取引法が施行され、クーリング・オフの通知方法について、郵便はがきなどの書面による通知のみでしか認められなかったものが、電子メールやFAXを用いた通知のほか、事業者が自社のウェブサイトに公開しているクーリング・オフ専用フォーム等からの通知でも認められるようになり、消費者はより簡単にクーリング・オフができるようになりました。
電子メール等でクーリング・オフの通知をする場合も、書面による通知方法と同様で、送信したメール画面を印刷し、また、クーリング・オフ専用フォーム等で通知する場合は入力画面のスクリーンショットを保存するなどして、必ず保管するようにしましょう。
(例)クーリング・オフ通知書の記載例
郵便はがきで通知する場合
電子メールで通知する場合
クーリング・オフの通知方法等のお問合せについて
クーリング・オフは消費生活センター等を通さなくとも自身で書面等を作成し通知することができる制度です。
書き方や手続の方法などが分からないときは、お気軽に消費生活総合センター(TEL:075-366-1319)まで御相談ください。